2025年5月17日(土)に、病気や障がいを抱える患者の家族(友人・支援者)が集うエニワンプロジェクト第3回【SUPPO】がオンラインで開催され、患者のご家族3名+メンバー3名の合計6名で交流を深めました。
今回は、身体的な病気や障がいを抱える患者のご家族だけでなく、精神疾患と発達障害を抱えるご家族と共に生きる方にもご参加いただき、新たな視点から社会課題を考える濃密な時間となりました。
参加者の中には、病気や障がいを抱える患者のご家族としてだけでなく、発達障害や自閉症を抱える方と共に働く職場仲間の立場からお話をくださった方もおり、多様な働き方が進む社会の中で「病気や障がいがあってもなくても、お互いに気持ちよく働くためにはどうすれば良いのか」を考える、きっかけにもなりました。
特定の疾患に限らないエニワンプロジェクトの交流会だからこそ、当事者には聞けないことを聞いたり、見えなかった世界を感じられ、学びの多い出会いとなりました。
今回のトークテーマは、こちらの2つ
- 自分自身が受けた偏見と、自分で思い込んでいる偏見は?
- 偏見や思い込みがほどけたきっかけは?
4月に開催された第3回 患者同士の交流会【COMMU】と同じこのテーマは、エニワンプロジェクトが今年度の活動の中で力を入れている、病気や障がいの偏見や思い込みをなくす活動につながるテーマです。
あなたも参加者の経験に耳を傾け、どうしたら「同じように傷つく人が生まれないか」「自分自身が病気に縛られないように生きられるか」を自分の立場に置き換え、誰もが当たり前に生きられる社会を実現するためにはどうしたら良いのか一緒に考えてみましょう。
◆記事を読んで、あなたの声を聞かせてください!
開催レポートを読んで、あなたが感じたことを教えてください。
「こんな偏見を感じた」「この言葉に救われた」「こうすればもっと伝わるかも」など、どんな意見も大歓迎です。
あなたの声が、同じように悩む誰かの支えになります。
ぜひアンケートにご協力ください!
回答してくれた方の声は、後日まとめて【LINE・メール登録者限定】で共有予定です。
声を届けて、未来を変えよう
参加者のご家族の疾患
- 多発性硬化症
- 不安神経症
- うつ病
- 発達障害

エニワンプロジェクトのメンバーの中には、当事者でありながらパートナーや父親が病気や障がいを抱え、ときには支援者の立場となる者もいます。
家族(友人・支援者)同士の交流会【SUPPO】では、支援者の立場から一緒に交流させていただいています!
自分自身が受けた偏見と、自分で思い込んでいる偏見は?
最初は、自分自身が受けた偏見と、自分で思い込んでいる偏見(なければ当事者である家族が受けた偏見)について伺いました。
自身が抱える課題に対して、参加者がそれぞれの立場で改善策や想いを伝えあったので、そのやり取りを一部ご紹介します。
病気や障がいを抱える方との働き方について

職場で障がい者雇用が始まり、発達障害の方と自閉症の方の入社が決まりました。1人すでに入社し、配属されたグループの中には、年配の男性社員がいて、大きい声や威圧感に、ビクビクして目が合わせられない状況になっているのを気にかけています。グループの人たちは、その姿を見て「子どもだよね」と社員同士で笑っていて、上手くいっていない様子です。社会の方針で障がい者雇用を始めても、社内で病気や障がいへの理解と対応が追いついてない状況では受け入れちゃいけないんじゃないかと思っています。
参加者の意見

発達障害の娘が就活をしたのが10年前。
当時は、障がい者への就労支援に関してみんなが無知で、受け入れる事業所も少なかったけれど、現在は、産業医と事業所と病院で連携が決められていて、障がい者の枠が設けられているので、安心して働ける仕組みが出来上がっている。
事業者側も〈働きやすい環境を作っていきましょう〉と取り組んでいるけれど、実際に働けるかは本人次第なところ…。
そこで働いている人たちの人柄や価値観も違うので、どう接してよいのか分からず煙たがられることもあるし、嫌がらせを受けることもある。そして、それをうまく言えない当事者も多い。
「どうせできない、しゃべれない」と偏見を受けても、そこにいるしかない、どうにか認めてもらいたいと思って働いている人が多いと思います。
企業の課題として、病気や障がいを抱える当事者へのフォローだけでなく、一緒に働く側のケアも必要だという意見もありました。
偏見は不安から生まれるもので、その不安の大きさは人それぞれ。全ての人に受け入れてもらうのは難しいですが、当事者も、一緒に働く側も、どちらも平等であるべきという声には、参加者全員がハッとさせられました。
実際に就業中に受けた偏見

高次機能障害を抱えるパートナーが、障がい者雇用で症状を周囲に伝えて働いています。
ある日、治療で1ヶ月入院が必要になったときに「それ本当に効くの?」「意味あるの?」と言われたそうです。効くかわからないけど良くなることを信じてやっているのに…と思うと、自分ごとのように辛かったです。
また、忘れることに対して「メモすれば良いじゃん」「脳がバグってるんじゃないの」とも言われたみたい。
障がい者雇用を受け入れて働いている人の中には、色々な人がいるのも分かるけど、みんな一緒に良くなっていけたらいいなと思います。
◆高次機能障害とは…脳損傷によって、記憶力、注意、言語、感情コントロールなどが障害される認知機能の障害です。外見からは分かりにくいため、「見えない障害」とも呼ばれます。
自分で思い込んでいる偏見
相手から受けた偏見だけでなく、周囲の声から自分自身が病気に囚われてしまう、思い込みの偏見についても、同時にお話しいただきました。

娘が病気になって、「病気になってこれからどうなっちゃうの〜?」と興味本位を聞いてくる人もいました。そんな人達の姿を見て、〈自分が逆の立場だったら〉と考えるようになり、普段から接し方で嫌な思いをさせていないか(思い込みの偏見を持っていないか)と、相手の立場に立って考えるようにしています。

私自身、夫が病気を抱えながら働くことに「職場で受け入れてもらえないんじゃないか」と偏見を持っていました。当時は、隠して働くことにしたけれど、夫は苦痛だったと思う。実際、隠しきれない部分もあったし、通院の時も本当のことは言わずに薬をもらったりして、今思うと、遠回りをしてしまっていました。
偏見や思い込みがほどけたきっかけは?

次に、自分や患者である家族が、相手から受けた偏見と、自分自身が思い込んでいる偏見を経験されてきた中で偏見がほどけたきっかけはあったのかを伺いました。

発達障害の娘は追求型の思考があり、疑問があるとずっと学んじゃうので、父である夫の特性を本やスマホで調べていたようです。
夫は不安障害で、戸締まりされているか、モノがいつもの場所にない、いつもとタイミングが違う、などに不安を感じるので、そのたびに物音を立てています。その物音を聞いていると、ずっと一緒にいる側としては気に病んでくる。
だけどある日、娘がその行動に対して「あれはお父さんの確認作業で、昔からの不安をあれで解消しているから、無理に辞めさせると余計不安になるし、自分を攻め続けるのをもっと責めちゃうし、悪化しちゃうからあのままでいいんじゃない。あれがお父さんにとって気が落ち着くし、気の落とし所なんじゃない」と言ってくれたので、それ依頼、クローゼットを開け閉めする音が聞こえると、「落ち着いてるな、いつも通りだな」と思えるようになり、自分も安心できるようになりました。
障がいがある子に、教えられるなんて思ってもみませんでした。
娘が偏見を解除してくれたし、自分の気の落とし所を作ってくれました。
この話には、参加者全員がウルウルと涙を滲ませ、感動に包まれました。
家族という関係だけでなく、病気や障がいがあってもなくても、双方が純粋に相手と向き合っていれば、お互いに救い合える存在になれるんだと、確信しました。
その他にも、

夫が病気になって家族に当たり散らしていたら、今の生活はないと思うし、こうやってみなさんと話をしていなかったと思う。夫がポジティブだったから、自分の心も引き上げてくれました。

患者本人がポジティブに生きていると私も前向きになれる。なので、こんちゃんの存在が大きい!
エニワンプロジェクトの交流会での出会いも世界が広がります。

もっと言ってー(笑)
交流会は、和やかな雰囲気で行われてますので、ぜひ皆さん気軽に参加してくださいね♪
この話を聞いて、患者自身の立ち振舞によっても、相手からの接し方が変わることもあると実感しました。
理不尽な言葉をかけられることもありますが、少しでも嫌な思いを減らすために、患者当事者として自分自身ができることを、考えてみても良いのかもしれませんね。
家族の病気を周囲に公表してる?
今回のSUPPOでは、考えさせられるエピソードや、名言とも言える〈心に響く言葉〉が多く、全て紹介したら読みきれないほどのボリュームになってしまいそうだったので、泣く泣く一部抜粋してご紹介させていただきました。
多様な働き方が広がる社会で、病気や障がいを抱えている人と、そうでない人が一緒に働くことが当たり前の時代になってきました。
交流の中で、【家族の病気や障がいをオープンにしていますか?】という話になり、
- フルオープンにして、こういう病気があるということを知ってもらいたい
- ご迷惑をかける可能性がある方々には伝えています
- 隠している訳じゃないけど、選んで伝えてます
- 病気や障がいの種類にもよるかも
など、様々な声があがりました。
参加者の1人から「家族にも人権があるので、考えて発言しています」という意見があり、「当事者と自分は良くても、他の家族はどう思っているか話したことがなかったです」と、家族で話し合うきっかけにもつながりました。
自分の人権、家族の人権、友人や周囲の方々の人権、病気や障がいを通して、何をどう感じるかは人それぞれだと、改めて気付かされた貴重な出会いとなりました。
みなさんは、病気や障がいをオープンにしていますか?
患者としての立場、患者の家族・友人としての立場からだけでなく、職場仲間や支援者の立場から、患者当事者に望む立ち振舞などを教えていただけると嬉しいです。
記事を読んで、あなたの声を聞かせてください!
あなたの声が、同じように悩む誰かの支えになります。ぜひご協力ください!
声を届けて、未来を変えよう
患者の立場から、家族の立場から、友人・支援者の立場から、様々な目線からご意見を伺えたら嬉しいです。

改めて言葉にすることで、心が軽くなることもあります。そして、貴重なご意見を私たちが世の中へ広げてまいります!
集まったご意見は、〈LINE友だち追加〉または〈メールアドレス登録〉をしていただいた『エニワンプロジェクト応援メンバー』の皆さま限定で、全て公開いたします!(許可をいただいたご意見に限る)
また、こちらでは紹介しきれなかった交流会の内容も合わせて限定公開させていただきますので、この機会にぜひご登録ください。
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交流会へのご意見
開催後、参加者にご協力いただいたアンケートから、一部ご紹介させていただきます。

家族をサポートする立場の人との繋がる時間が頂けて有り難いと感じています。自分のための時間を疎かにしがちですが自分あっての介助や介護なので、セルフケアも重要と気づけました。

テーマの内容が難しい…と感じたものの、参加者全員の意見を聞くことができ満足している。

偏見をテーマに参加者の経験に触れ、風潮やモラルと言った見えないもので、苦しんでしまわない様、難題に向き合って話し合えた事。

こうあるべきだ…という事ではなく、それぞれの考えを尊重する場であったことが、次の参加意欲につながると感じた。

第3回【SUPPO】にご参加いただき、ありがとうございました!何度でも参加できますので、また一緒にお話しましょう♪
エニワンプロジェクトでは「病気や障がいを抱える方々の理解を深めるための取り組み」に力を入れています。
病気があっても同じ人間だという理解を、小学校や中学校の授業、企業の社内イベントを通して広げることで、お互いに歩み寄るきっかけ作りを行うための仲間を集めています。
プロジェクトへの応援だけでなく、交流会を継続していくためにも、寄付のご協力をよろしくお願いいたします!
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